2014年 6月の尾瀬。
今年の6月は異常な猛暑に見舞われました。
各地でも観測史上初と言った表現が使われていたようですし。
6月の初日に真夏日・・・なかなか経験出来ないことでした。
初春の花、初夏の花の咲くのがとにかく早かったです。
6月1日。
ジャケットやフリースが欠かせないことが多いはずの6月初日。
ところが半袖で十分なほどの暑さです。
ムラサキヤシオ。
6月1日はまだ咲いてないことも多いのですが、早い株は開花しました。
山ノ鼻にて、巣材の泥を集めるイワツバメ。
ミズバショウも、どんどん咲き出しました。
死んだ銀ブナに食いつくイモリ達。
「魚は居ない」と言われる池塘ですが、シーズン前半はこの銀ブナを結構見かけます。
水温が上がると水中の酸素飽和度が下がる為に居られなくなるようです。
まさかこの気候で酸素濃度が下がって死んだとか・・・?というのはいくらなんでも考えすぎですね。
さすがに何か他の原因で死んだのでしょうきっと。
下ノ大堀側の至仏山絶景ポイント。
ミズバショウも満開になってます。
山ノ鼻に戻って
あまりの暑さに、お客さんと一緒に山小屋に入ってアイスを食べました。
6月2日。
シラネアオイ。
こんなに早く咲き始めるのは珍しいです。
サンカヨウ。
葉が開く前に花芽が開いてます。
トウホクサンショウウオとその卵。
スミレサイシン。
日当たりの良いところのミネザクラが満開になってました。
6/2でもう満開とは咲くの早い!
木の幹に付着した苔から咲くミヤマスミレ。
この花はこういう咲き方を良くしますね。
もちろん、普通に土からも咲きますが。
イワツバメの巣作り中。
モリアオガエルの卵。
6月に入っていきなり産んであるのはなかなか見れません。
こちらは見てもあまり嬉しくないかもしれません。
ヒキガエルの卵塊。
テンマザワ田代でヒキガエルがカエル相撲をしている所です。
6月7日。
ミヤマエンレイソウ(シロバナエンレイソウ)。
ミネザクラがもうピークを過ぎかけてる?
6月18日。
ニホンジカ。
今までは人が入る期間はくくり罠だけで駆除していたのですが、今年から鉄砲の音が山から聞こえてきます。
もう罠では間に合わないほど増えてしまってるんだそうです。
春先に無くエゾハルゼミ。
だいぶ弱ってるようですが、やはり暑さのせいで早めに羽化してそろそろ寿命を終える頃なのかもしれませんね。
サンカヨウの葉も開いてきました。
一番大きなシラネアオイの株。
まだ開きかけが多いです。
林内の木道脇のニリンソウ。
尾瀬ヶ原にはいってヤマドリゼンマイ。
研究見本園のチングルマ。
最初に蕾が開いた株。
まだ完全には開いてませんね。
9月7日。
シロバナタテヤマリンドウ(リンドウ科リンドウ属)。
オオバタチツボスミレ。
ズミ。
薄赤色のはツボミ。
まだ殆どはツボミですが、湿原内の日当たりのよいところで数輪だけ咲いてました。
6月12日。
群馬県の県花、レンゲツツジ。
6月前半でこの咲きっぷりは中々見事です。
鳩待-山ノ鼻間で、時々木道からちょっと離れたところにある目立つ花。
「オオサクラソウだよ」と教えてくれた人が居たのですが、花だけ遠くから見てもクリンソウとの区別が付きません。
調べてみると、クリンソウとオオサクラソウとも両方、尾瀬で咲いている植物として登録されてます。
葉を見れば遠くからでも区別が付くのですが、ロゼット状の葉なので周りの草丈よりも低くて遠くからでは分かりません。
ニッコウキスゲの早咲き。
今年の異常な暑さを象徴するかのようです。
周りを見渡しても、さすがに咲いてるのはこの一輪だけでした。
先ほどはオオサクラソウとクリンソウと見分けが付かないのがありましたが、これは近くで見れたので葉で判別できます。
クリンソウ(サクラソウ科サクラソウ属)。
ツクバネソウ(ユリ科ツクバネソウ属)。
5枚葉のツクバネソウが並んで咲いてました。
それほど珍しいというものではありませんが。
6月13日。
チゴユリ。
尾瀬ガイドが良く使っている花図鑑にはユリ科チゴユリ属と表記されていますが・・・
これは古くから親しまれてきた分類法(新エングラー体系)で、最近では科学的に見直されています。
ゲノム解析とか難しそうなものを取り入れたAPGという分類法では「スズラン科」もしくは「イヌサフラン科」だそうです。
とりあえずどっちかに早く統一して欲しいです。
個人的にはイヌサフラン科はちょっと覚えづらいのでやめて欲しい気がします。
鳩待からの山道で、最後まで残雪が残る場所に咲いていたミズバショウ。
今年は6月最初に真夏日が来たせいで、本来ならこの時期がピークのはずのミズバショウがかなり萎れてます。
ここは最後まで雪が残る場所だけあって、咲きたてホヤホヤでしっかりしています。
シラネアオイ。
平年より早く花びらがしおれてきてます。
初旬に来た時には数輪だけ咲いてたズミですが、もうほぼ満開ですね。
9.9分咲きくらい。
6月16日。
至仏山の残雪と緑の部分のバランスがなんとも言えない綺麗な夏の高山の雰囲気。
コヨウラクツツジ(ツツジ科コヨウラクツツジ属)。
小さい花なので見逃して通り過ぎがちです。
なおかつ、ピントが後ろに合ってしまうことも多く、ついつい写真を撮り逃してしまいます。
コマガタケスグリ(スグリ科スグリ属)。
古い分類ではユキノシタ科スグリ属。
地味な花です。写真でせいいっぱい綺麗に咲いてる状態です。
グースベリーの仲間なので木の実はおいしいはず。
マイヅルソウのツボミ。
まだ咲いてません。
でも良く見ると下の方から2つほどツボミが開いてますね。
マイヅルソウは下から開花していきます。
コブヤハズカミキリ。
ルイヨウボタン(メギ科ルイヨウボタン属)。
まだ開ききって無いつぼみもありますが、これでも花が咲いてます。
緑の花なので地味です。
タチカメバソウ(ムラサキ科キュウリグサ属)。
それほど目立つ花でも珍しい花でも無いのですが、尾瀬では咲いてる箇所が少ないので、一応咲いてる時期には見るようにしています。
至仏山のカラ沢から出た雪崩によって木が倒された跡。
クルマバツクバネソウ。
単にツクバネソウの葉が多くなっただけではなくて、葉の出かたや花被片の構造も違うし一応は別種です。
尾瀬ヶ原にてヒメシャクナゲ(ツツジ科ヒメシャクナゲ属)。
イワカガミ(イワウメ科イワカガミ属)。
ミズバショウの花がちょっと残念になってくるのと入れ替わりでこういう小さい可愛い花が咲き始めるので、私はこの時期の方がむしろ好きです。
開花してから少し経過したヒメシャクナゲ。
最初の頃は色が濃いんですが、花がしっかり開いてからは色がどんどんうすくなっていきます。
この写真も良く見るとまだツボミ状態の株が混ざっていますが、色がかなり濃いのが分かります。
タテヤマリンドウ。
左はシロバナかな・・・と思ったんですが、露出の加減で色が飛んでるだけのような気もします。
浮島の上にモリアオガエルの卵。
ミヤマキンポウゲ(キンポウゲ科キンポウゲ属)。
まだまだこれから咲く数が増えていく時期です。
まだ咲きかけですね。
かなりシオレてしまっているミズバショウ。
至仏山からの冷たい水が流れ込むので原の中では最後まで花の形を保てている場所です。
イワナ。
湿原内の木道下の水溜りに近い僅かな流れの場所です。
普通はアブラハヤの稚魚が居る場所で、渇水期になれば水深がほとんど無くなる場所。
大雨の時や、雪解けで増水した時に本来の生息場所から流れてきて取り残されることもあるみたいです。
オオバタチツボスミレ。
キジムシロ(バラ科キジムシロ属)。
先ほどミヤマキンポウゲが咲いていた場所から数十メートルの場所。
花びらだけ見てると同じ花と間違えてしまいそうです。
ミツガシワ(ミツガシワ科ミツガシワ属)。
野鳥・・・こういう地味なのは種類がなかなか分かりません。
野鳥図鑑とじっくりにらっめこすれば判別すると思うのですが・・・それをやってるとページの更新に時間がかかりすぎてしまうので今回はギブアップしました。
見たくない人も居ると思うので小さな画像で。
毛虫の体に他の虫の卵が産み付けられます。
尾瀬ヶ原に入ってから最初に横切る小さな小川。
地味ですけどいろんなお花が咲くのでうれしい箇所です。
6月17日。
ギンリョウソウ(シャクジョウソウ科)。
同じ腐生植物のシャクジョウソウの名が付いた科に含めて説明されることが多いです(クロンキストという分類法)。
ガイドが良く使う新エングラーという分類ではイチヤクソウ科でした。
「ベニバナイチヤクソウの仲間なのか~」となんとなく釈然としない感じだったので、他の花は新エングラーの分類で説明しててもこの花だけはクロンキストの分類でシャクジョウソウ科としてお客さんに説明してきました。
近年、ガイドが使うべき分類法としてAPGというのが採用されてきてますが、そのAPG分類法では[ツツジ科]だそうです。
う~~ん、釈然としない!
ツツジ科のシャクジョウソウ亜科、というところまでちゃんと覚えておいた方がスッキリしますね。
亜科まで覚えておくのは大変なんですけど・・・仕方ありません。
ヤマトユキザサ。
と、尾瀬の本では書かれてます。
本の通りに探してみると、ユキザサ、ヤマトユキザサ、ヒロハユキザサの3つが確かに確認できます。
ミドリユキザサやオオバユキザサはそれぞれの別名で、人や地域によってどれがどの別名なのかバラバラなので別名については考えないようにしています。
問題は、ヤマトユキザサとヒロハユキザサ。
「尾瀬にはヒロハユキザサなんて無い」というベテランガイドも居れば、植物に詳しい人で「ヒロハユキザサと基本種のユキザサだけ分ければ良い」という人も居ます。
このユキザサの分類はそれだけ大変というか面倒くさいというか、厄介というか論争の元なのです。
ムラサキヤシオ。
もうとっくに散ってても良さそうなタイミングですが、しっかり咲いてる株がありました。
開花してから日数が経過したイワカガミ。
花の丈がどんどん伸びています。
後ろにシロバナタテヤマリンドウがありました。
真夏を思わせるくらいになっている尾瀬ヶ原。
ところどころ咲きかけのワタスゲ。
後から写真でも見ても区別が付かないアマドコロとオオナルコユリ。
現場で茎を触ってみると分かります。
たぶんアマドコロだったと思います。
アマドコロの最新の植物学の分類。
クサギカズラ科アマドコロ属・・・・・。
おいしい山菜なんですが、一気に食べる気がなくなりそうです。
今まで説明に使われていた古くからの分類では[ユリ科]です。
こっちの方が全然美味しそうですし、可愛いですね。
高い木の上で目立つように鳴いているカッコウ。
6月19日。
シラネアオイの株の周りに設置された電気柵。
昨年は単にビニール紐だったと思うんですが・・・より強化されました。
というか、ビニール紐は「人が近づいて踏まないように」施設されたもので、今回の電気柵は鹿対策だそうです。
尾瀬のお花というわではなくて、外来種のセイヨウタンポポ。
やはり判別がつきづらい小鳥。
なら載せなければ・・・とも思うのですが・・・
こうやって、地味な小鳥もちゃんと区別つけられるようにしないとな・・・と自分への戒めです。
沢と湿原が混じる辺りでヤマアカガエル。
こちらは、峠道の沢沿いで見かけるタゴガエル。
コツマトリソウ。
従来からサクラソウ科としてお客さんに説明してきました。
最新の分類法(APG)ではヤブコウジ科に変わったそうです。
確かにサクラソウとはちょっと趣が違うとは思ってましたが・・・ヤブコウジ科(センリョウやマンリョウ)の仲間というのもちょっとイメージが違って覚えづらいです。
6月25日。
オオバミゾホオズキ。
これも分類法の変更で戸惑っているお花の一つ。
従来はゴマノハグサ科で、新しいものはハエドクソウ科。
うぅん・・・馴染みが無くて覚えづらいし、互換もあまり良くないですね。
コバイケイソウ。
6月も末になるとワタスゲが咲き誇ります。
ハクサンチドリ(ラン科ハクサンチドリ属)。
ギョウジャニンニクの花。